「わぁああん! 全然力になれなくてごめんねぇえええ!!」


「おい……」


「お姉さんは味方だよ! 何があっても私が郁人くんを守ってあげるからね!」


「っ、いつ俺の姉貴になった……っつーか、は、はっ……」


「は?」


「離せ――――っ!!」


「ああっ、ごめんっ!」



 反射的に手を離すと、郁人くんがぜーはー言いながら胸を押さえていた。



「……ったく、心臓に悪いったらありゃしない」


「え、心臓がどうかしたの?」


「いーや!」


「郁人くん? 顔が赤いよ?」


「熱がぶり返してきた! アンタのせいだ! 俺は寝るっ!」



 言い放つなり、ガバッと布団を被ってしまう郁人くん。

 そのとき、ちょうど八神さんが病室に入ってくるところだったみたい。