「アンタ見てるとどうでもよくなってきた」


「ダメよ! 嫌な思いをしたならちゃんと……!」


「とにかく! 俺はもういいんだ」



 ハイこれで終わり! と手で強制的に黙らされる。



「セラが俺の代わりに怒ってくれてるから、俺が怒る理由はない」



 諭すような口調は、彼をひどく大人びかせた。


 昨日、あんなに怒ってたのに。

 目に涙まで溜めて、あんなに叫んでいたのに……。



「だから、もう色々言わなくても……」


「郁人くんっ!」


「うわっ!?」