日の出前の早朝、寝室に着信音が鳴り響く。
《ボンソワール! 元気かセラ! 今はフランスにいるんだ。もう少しで帰れるからな!》
「……おはようお父さん。そのわりには日本から遠ざかってるけどね」
《何その冷静なツッコミ……っつーかおはようって、今そっち何時?》
「4時だよ。朝の」
《なんと! こっちは夜8時だぞ! テンションが最高潮に達するその勢いでかけてしまった!
すまんセラ、起こすつもりじゃなかったんだ。怒らないでくれ~》
「……いいよ。どうせ起きてたし」
急激な温度差に気づいたお父さんは、恐る恐るといった感じで訊ねてくる。
《……何かあったのか?》
「あったよ。おかげで眠れなかった」
そう言ってしまうと何が? って質問されるのは目に見えてるから、昨日の出来事をお父さんに話した。