「あんたとか、すごい一途っぽいもんねー」
「……」
「あ、これ一応忠告ね。まー、全然関わりなさそうだけど」
わたしから視線を外し、赤いマニキュアを器用に塗り直しながら言う。
つけまつげが、ナミさんの白い頬に影を作った。
わたしは最後の一口を食べ終え、お弁当箱を片付ける。
「んー、あんたみたいな真面目なやつは、真面目なやつと付き合っとくのが一番だよね」
「ああ、そうですか……」
「例えばー……」
「松村」
適当に返事をしていると、トントン、肩を叩かれた。
振り向くと、堤くんが立っていて。
「あ、そうそう、こいつとか! 真面目で爽やか好青年!」
「……え?」
いきなり堤くんを指差して言ったナミさんに、苦笑いを浮かべる。
「ごめんね、堤くん、気にしないで」
「あ、そう?」
不思議そうな顔をしながらも頷いた堤くんは、そうだ、と言いながらわたしにプリントを渡した。