「朝桐くん! それに日野くんと和久井くんも!」
いつも仲良しな3人。
今日もみんなそろって私たちの座るベンチまで歩み寄ってきた。
「ちわーす」
「ずいぶん会話が弾んでいたようだが、なにを話していたんだ?」
「ああ、ちょっと名前のことでね……」
「名前、というと?」
首を傾げる3人に、かくかくしかじかと事情を説明。
「……名前の意味? そういや考えたこともなかったな。つーか俺ら、まともに名乗った記憶ねぇんだけど」
「確かに日野の言う通りだ。ならまずコレを」
「朝桐くん、どさくさに紛れてどうしてスマホを取り出しているのかな?」
懐からスマホを取り出した朝桐くんの手を差し戻して、若葉くんがにっこり。
その瞬間、真夏だというのに冷たい風が背中を吹き抜けた。