「……なんだ、アイツ」 走り去る際、キザっぽくポーズを決めた男の指に、街灯に反射して銀色に光るものがあった。 あれは指輪。 そしてそれがはめてあった場所は……。 「……いや、俺には関係ないことだ」 思考を中断し、ひとつ息を吐く。 気にしたってしょうがない。 どうせもう会うこともないのだから。 ……そう思っていたけれど。 運命の歯車は、音を立てて回り始めていた。 【終】