「人通りが多いっつっても、こんな時間に子供1人で出歩くもんじゃないぞ…………って、今何時!?」



 懐から取り出した携帯で時刻を確認したらしい男は、サッと顔色を青くする。



「うわああ、ヤベェヤベェヤベェ! フライト間に合わねぇかも! ったく愛梨のヤツがあんなことしなきゃ……!」


「あの……」


「悪い! ちょっと急ぎの用事があるんでな。気をつけて帰れよ、少年!」



 そう言うなり、男は夜の人ごみに消えてしまった……。