ああ、やだな。


 金切り声上げるなよ。


 ウザくてたまんねぇから。



 そう――何もかもが憎らしくてしょうがない。



「黙れよ……っ!!」



 ゴロツキが拳を握った。


 コイツらみたいなのは、どうせ何にも考えてないんだろうな。

 人を傷つける意味とか、責任とか。



 ――だから嫌なんだよ、人間って。



 ガッと強い衝撃を感じ、身体が投げ出された。



 しかし、痛みはやってこなかった。


 顔を上げる。ゴロツキはいつの間にか、うめき声を上げながらアスファルトの上に転がっていた。 


 衝撃を感じたのは、殴られたからじゃない。

 ゴロツキの束縛から解放されたからなのだ。

 そして――



「あ、ヤベ、やりすぎちった。おーい、生きてるかー?」



 突然目の前に現れた、謎の男。