「息を細く勢い良く出すんだ。」
「は、はい。」
ぷわー
「だんだん音が出るようになってきてる。あと1つ上の音だからがんばれ!!」
『俺が責任もって教えてやるから』
その言葉通り先輩はわかりやすく細かく私に教えてくれた。
先輩の教え方は上手でひとつ。またひとつ。と音が出てきた。
あと一音上がれば...!!
すると先輩に「ちょっとお腹触っても大丈夫??」と聞かれて「え!?」と答えてしまった。
「いや!!変態な目的とかじゃなくて!!腹式呼吸だから!!」と言われた。
「最初からそう言ってくださいっ」と言うと「ごめん、ごめん。」と笑いながら頭をかいている。
「じゃあごめんね。」といいながらお腹に手を当てられた。
先輩の手が...!!と思うと緊張してしまった。すると「そんな緊張すんなよ。」と私の緊張をほぐしてくれた。
「いち、にー、さん、はいっ」
ぱー
「でた!!」と先輩。
「で、で、でた!!!!」と私。
「やったね!!」「やったあ!!」と二人でハイタッチした。
「じゃあ何回かだすよー」と先輩に言われ何回かその音を出した。
だんだんと音が出るようになり音が出てから1時間後頃にはほぼ完璧に出せるようになっていた。
「出せるようになった...。先輩のおかげです!!ありがとうございます!!」
「おうっでてよかったな!!これで吹ける!!」と笑顔で答えてくれる先輩。
「あのっ先輩っ」
「なにー??」
「なにか私にできることありませんか??お礼がしたくて...」
「別にお礼なんていいよ」とニコニコする先輩。
でもそれじゃあ悪い...
すると
「あ!!じゃあ本番その音しっかりだして!!せっかく教えたんだし。それがお礼!!」
「そんなお礼でいいんですか!?」と私が聞くと
「そんなー??じゃあ絶対はずすなよ!?」と笑われてしまった。
私は頑張りますとしか言えず下を向いてしまった。