日にちがたちだんだんと吹けるようになってきた。でもひとつだけ吹けないところがあった。
「音が高くてでない。」
「が、がんばれ!!」
そう高音が出せないのだ。
いつも合奏で出せなくて顧問に出せてないと指摘されてしまう。
出せないもんは出せないんだよ!!
理沙は普通に出せてるし...理沙すごすぎ...
「高橋!!またはずしてる。」
うわっやばい...
「お前もう吹かなくていい。」
「えっ」
「『えっ』て吹けてないんだからふくな。」
そういって顧問は音楽室から出ていってしまった。
「高橋...「ごめん。理沙。ちょっと一人にさせて。」
理沙には本当に申し訳ないと思っている。だけど優しい理沙の前で泣いてしまったら理沙は罪悪感を感じてしまうだろう。だから。ごめんね、理沙。
理沙に一言かけたあとパートの教室へ行き、一人で伏せた。
涙がでてジャージにしみる。
私が吹けないのが悪いんだ。誰も悪くない。でも...悔しい。
そんな時
「高橋っ!!」
ガラッと勢い良くあいたドアに立っていたのは橋本先輩だった。
「橋本先輩...??」
目に涙が溜まっているのも忘れて私はキョトンとしていた。
「先生に頼んできた。俺が高橋を教えるから吹かせてくれませんかって。」
え。
「そしたら吹けたら吹かせるのは当たり前だって!!俺が責任もって教えてやるから!!だから...」
先輩はゆっくり歩いてきて私が座っている席の前にたち、そしてしゃがんで
「泣くなよ...」
と辛そうな顔をしながら私の涙をぬぐってくれた。
私は下を向き「お願いします。」と頼んだ。先輩ならなんとかしてくれそうで...私は頼ってしまった。