「さっき泣いてなかった??」

ホールに戻ると橋本先輩がぼそっと声をかけてくれた。

「大丈夫ですよ。」と笑うと

「大丈夫じゃないでしょ。無理して笑ってる。」と隣に座って来てくれた。

元々隣に座ってた理沙が高橋元気ないんで橋本先輩話聞いてあげてもらってもいいですか??とかなんとか言ってきた気を利かせてくれたみたいだ。

「なんで橋本先輩は...」

「え??」

「なんで橋本先輩は誰にでも優しいんですか!!」泣きそうになったけど抑えた。

「えっ優しくないよ。」

「優しいです。じゃあなんでわざわざ私の話を聞いてくれるんですか。他の学校の演奏を聞きたいはずです。」

「他校の演奏つまんないよー。」と笑う橋本先輩。

「そしたら他の先輩とはなしてればいいじゃないですか。誰にでも優しくするなんてひどいです。」

「そんなつもりないんだけど...でも俺がここにいるのは高橋が泣いていたのが気になるからだよ。俺でよかったら話聞いてあげたいと思ったから。」

「...すみません。」

「なんで謝るんだよ」とツッコミながらも笑う橋本先輩。

舞台ではパーンっとトランペットが鳴り響いていた。