そろそろ帰らなきゃ、お母さんが心配するよね。

今日は部活ないって言っちゃったし…

でもこんなに目が腫れていたらきっとお母さんにも妹のことちゃんにもなにか言われるんだろうな…

帰りたくない…

何度も携帯を見ながらグズグズしていると外はだんだんと暗くなってきた。

はあ…

ため息をひとつついた瞬間。

「やっぱここにいた。」

トンネルの外から聞こえてきたのは、聞き慣れた低めの声。

「こんなとこで何やってんの?さく。」

顔を覗かせていたのは私の家のお向かいに住む、同い年の幼なじみ、速水大和。

なんで大和がこんなところに?

それは声に出してないのに、顔に出ていたからか大和は答える。

「すみれさんが心配してたから、探しに来てやったんだよ。」

すみれさんはうちのお母さん。

大和とお母さんはなぜかやたら仲良し。

「…お前、もしかして泣いてんの?」

大和にそう言われてとっさに顔を隠す。