これは恋愛講座。

大和は私に恋を教えてくれてる。

それだけなんだ。

「さくが好きだよ、ずっと。」

そして、ぎゅっと抱きしめられる。

その腕にはさっきみたいな乱暴さも、強引さもなくて。

ただ、優しくて。

安心する。

大和の優しい香りが、昔から好き。

「桜子ー、お風呂入っちゃいなさいよ!」

下から聞こえるお母さんの声にはっとして慌ててその腕からすり抜けた。

「明日からも、よろしくな。じゃあな。さく。」

そう言って大和は英語も教えてくれずに帰ってしまった。

まだ心臓がドキドキいってる。

なんで、あんな顔するの?

練習だって、大和が言ったんでしょ?

大和はただ、私に恋愛を教えてくれてるだけ。

それなのに、さっきの表情。

私はいつまでも部屋のベッドの上で放心していた。