くやしい。

こんなふうになるなんて、恥ずかしくて、泣きそうで。

「…その目、やめろよ。すげえ…っ…」

大和の手が私の唇に触れた。

「なあ、練習しよ?」

練習?

なんの練習?

わからなくって、大和の顔を見上げる。

「…好きって言ってみてよ、俺のこと。」

「な、なんでそんなこと!」

そんなの、言えるはず無いじゃん!

「練習だって、お前、元カレに好きって言ったことないの?」

斎藤君に?

それは、…あれ?

そういえば私、心の中では何回も斎藤君の事好きだって思ってたけど、言葉にだして言ったことってないかも知れない。

告白も向こうからだったし、返事は恥ずかしさのあまり、口も聞けなくて、何回もコクコクただ縦に首をふるだけだった。

「…言ってみろよ、好きって。練習なんだから。」

私がちゃんと、好きって言えなかったから。

それも原因の一つなのかもしれない。

だったら、今度は、今度は…