バカにしたように軽く笑うと、さらに私に言葉の槍を浴びせる。

「そういやお前の家、茶道の家元なんだって?下品な女よりお嬢様のほうがいいと思ったけどお前はないわ。ほんっとつまんない。」

どうしてだろう、言い返したいのに喉になにか張り付いたみたいに何も言えない。

そればかりか、目には熱いものがこみ上げてくる。

ダメだ、泣いちゃダメ。

桜子、泣かないで。

「何お前、泣くの?とことん面倒な女だな。やっぱ無理だわ、俺。」

苦しい、胸が。

痛い、心が。

もう、やだ。

自分がすごく惨めだ。

今日だってテスト期間が明けて久しぶりに会えるって楽しみにしていた自分がバカみたい。

そんなふうに思っていたのは私だけだったんだ。

キスだってしたくないわけじゃなかった。

ただ、初めてだから。

男の子と付き合うのも、キスするのも。

そりゃあきっと、恋愛経験だって少ない。