俺を頼ってきた花恋。

俺のせいで嫌がらせを受けて、苦しんでる花恋。

だったら俺が守ってやるのが当たり前なんじゃないのか。


放課後、三年の教室まで迎えに行くと花恋は妃咲先輩と話していた。

俺に気がつくと、笑顔でこちらにやってくる。

「大和!」

「花恋、あたし帰るね!」

そして後ろからついてきた妃咲先輩は俺に小さく言った。

「花恋のこと、頼んだよ。」


「大和、本当にありがとう。」

何度が来たことのある花恋の家の前で花恋は俺を見上げながら言った。

「うん、何かあったら言えよ。…家入って。花恋が行ったら帰るから。」

すると俺の服の裾を遠慮がちにつかむ。

「…大和は、優しいね。」

俺は優しくなんかない。

いつも自分勝手で、花恋のことだって傷つけた。

別れよう、って言ったとき、花恋が引き止めないってわかってたから言えたんだ。

付き合っている間も俺が誰か他のやつのことを思ってるってきっとわかってて、それでも俺といてくれた花恋。