そしてポケットから何かを取り出した。

それは一枚の紙。

「今朝、机の中にこんなものが入ってて…わたし、怖くなって…」

その紙には

『調子にのんなよ!ブス!速水君につきまとうな!明日覚えとけよ!』

これって、もしかして俺のせい?

俺のせいで花恋は誰かに嫌がらせを受けてる?

「今日、家に誰もいないの…妃咲も今日はどうしても来れないって言ってたし、頼れる人大和しか思いつかなくて…」

妃咲先輩は花恋の親友、石井妃咲。

「ごめんね、大和に迷惑かけたくなかったのに…わたし、ごめんね。」

付き合ってた時もそう。

花恋はめったに弱さを見せなかった。

いつもニコニコ笑って、その優しさに俺は甘えていた。

別れたいと言った時も泣いたりしなかった。

その花恋が泣いてる。

きっとよっぽどひどい嫌がらせを受けてきたんだ。

そして誰にも言えずに、一人で悩んでた。

「わかった、授業終わったら教室に迎えに行くから、待ってて。」