自分の話より、俺の話を黙って聞くことのほうが多かった。

優しい花恋を傷つけてるのはわかってる。

それでも俺は、さく以外を好きになることなんてできなくて。

「大和…」

花恋に連れて行かれたのは廊下の隅。

そして突然抱きついてきた。

花恋がこんなことをするなんて、初めてだ。

自分から抱きついたり、そんなことは付き合ってる時でも一度もなかった。

キスもその先も、全部俺から。

花恋の初めては俺で、俺の初めても花恋。

そんな花恋の予想外の行動。

「どうしたの?」

小さく肩を震わせる。

もしかして、泣いてる?

「大和、助けてっ…」


花恋が落ち着いてから話を聞くと、どうもあのミスコンのあとくらいから変な奴らに嫌がらせを受けているらしい。

「靴捨てられたりとか、それくらいまでは我慢出来たんだけど…昨日塾からの帰り、誰かにあとつけられてて、腕掴まれそうになって…」