次の日、一睡もしないまま枕元の目覚まし時計のうるさく鳴る音を聞いた。

目を閉じても大和の顔ばっかりが浮かんできて、全く眠れなかった。

昨日のことが夢だったら良かったのに…

いや、夢だったのかな?

夢だったんだ、きっと。

そう思いこませて、朝ごはんを食べて制服に着替えて、ことちゃんと家を出る。

「あっ、大和君、おはよう!」

…う!

「おはよ、こっこ。さく。」

何よ、その平然とした顔は!

もしかして、本当に私の夢?

「さーく、今日、迎えに行くから、待ってろよ?」

そう私の耳元で囁いた大和。

ニヤリと口の端を上げてそう言うと自転車にまたがりさっさと行ってしまった。

やっぱり夢じゃなかった!

現実だった!

うわあ…最悪だ!

よりによって、大切なファーストキスを大和となんて!

「さくちゃん、どうしたの?」

私の目の前では不思議そうに私を見ることちゃんとかいちゃん。