夏休みが終わって約一ヶ月。

私たちは県立春日台高校の前で硬直していた。

「ちょ、ちょっと夕姫！先頭行ってよ！」

「やだよ！フーが最初に行って！」

みんなで体を押し合い、先への道を譲る。

「さくー！いけ！」

「無、無理だよ！だって私、こんなにたくさんの男の人…！」

あ、やばい。

頭がクラクラしてきた。

「じゃあ私が先頭行くね。」

こんなとき去年までアメリカにいたミラちゃんは頼りになる。

私達三人はへっぴり腰でビクビクしながらミラちゃんの後をついていく。

今日は大和たちの高校、県立春日台高校（共学！）の、文化祭。

絶対来んなよ、と念には念を入れるように昨日も言ってた大和だけど、そんなこと聞くわけがない。

それにそこまで来て欲しくない理由があると行きたくなるに決まってる。

「ねえねえ、ミラ、男の子と女の子が普通に話してるよ…！」

「そりゃあそうでしょ、同じ学校なんだから。」