頬からそのままそのやわらかい髪を撫でる。

「ん…やま、と…」

さくの口からこぼれた俺の名前。

なあ、期待するよ?

夢で俺のこと見るくらい、考えてくれてるのかなって。

無理やり付きあわせてから変わったことはある。

幼なじみとしか見られてなかったであろう俺の存在は、一人の男になっているように思うのは俺の勘違いか?

だってキスしたとき、抱きしめたとき、さくの反応は俺のこと意識してるよな。

さくの中での幼なじみの俺が一人の男として見られるようになったんならすげえ嬉しい。

家が近くて、親同士も仲良くて、小さい頃から知ってて。

こんな関係、良いようで悪い。

確かにさくの一番近くにいれた。

だけど俺はさくにとって恋愛対象にはなれなくて。

だからさくの元カレの斎藤ってやつが羨ましくて仕方なかった。

最初からさくに男として見られてて、恋愛してて。

この先さくが俺のことを好きなるかなんてわからない。

だけど俺は諦めたくないんだ。