そして、チラッと詩音の方をみる。

「……友達の無実を証明したいんだろ?」

「えっ?」

「協力するぜ」

阿部が不器用にウインクしてみせた。

協力って……。

詩音の頭の中はこんがらがる。

「協力なんてしたら……阿部刑事は警察なのに」

一番疑い深い容疑者の無実を証明する。

捕まえる側の警察がそんなことして、ただで済むなんて思えない。

だが、阿部は白い歯を見せて笑った。

「気にすんなよ。俺にルールは関係ねえ。ルールなんてあっても守れねえんだよ。なんたって、アホの末裔なんだから」