最初はインチキだと思ったけど、そうじゃなかった。

この喫茶店にはちゃんと、探偵がいる。

詩音が店内へ入ると、相変わらず客は一人もいなかった。

蓄音機から流れる音楽が、静かな店内を包んでいる。

いつものカウンター席に座ると、奥から憎たらしい声とともに彼が出てきた。

「君は、ほんっっとーに暇なんだな」