何かあったんだろうか。 震える手で通話ボタンを押す。 「もしも……」 『こ、詩音!?大変なの!』 焦ったような葵の声。 明らかに様子がおかしい。 「な、なに?なにがあったの?」 『わ、私……。もうダメかもしれない』 「どういうこと?」 『詩音、助けて』 ダメかもしれない? 助けて? 葵の身に一体何が……。 落ち着け。自分が慌てたら、葵にもそれが伝染してパニックになる。 私が落ち着かないと。