ただ、詩音は本当にそうとは思えなかった。
「たしかに、あなたの言ってることは間違ってないかもしれません。……でも、一人で生きてる中に、たくさんの人々の支えがあるんじゃないですか。……あなたの考えは、なんでそんな哀しいんですか?」
叶亜は人の奥底をついたような発言をするけど、その言葉はどれも哀しい。
まるで、この先の未来の光がないみたいに。
「……なんで君がそんなに悲しむ必要がある?」
「えっ?」
「僕のことなのに、君はなぜか『悲しみ』の感情を持っている。ほんとに君は……」
叶亜がうつむいた。
え?なに?
ほんとに君は……。
その先の言葉をドキドキしながら待ってると、叶亜が顔をあげた。