「……あります。今日確認しました。舞に気づかれないように財布の中身をのぞきました。気が引けたけど、仕方なかった。そしたら……財布の中にお札が何枚も入ってたの!!しかも10万円……」

「……なるほど。話は分かりました。」

叶亜がボトルを棚に戻した。

そして、葵に向き直る。

「葵さん。僕が必ず何とかします。あなたはご自分の安全だけを考えてください。もしかしたら、本当に空き巣なのかもしれませんし。偶然なのかもしれない。それは僕が調べます。」

「ほんとっ……?」

涙を浮かべ、すがるように叶亜をみつめる葵。

なに、この空気……。

詩音は何ともいえぬこの空気に口をあんぐりと開けていた。

「本当ですよ。紳士は嘘を吐きません。こんな素敵な方のためなら、なんだってやりますよ。そのためには……」

叶亜がチラッと詩音をみた。