「助けに来てくれて、本当は嬉しかったです!」
精一杯の笑顔で言うと、叶亜がフッと口元を引き上げた。
「君が死んだら、僕のおもちゃがひとつ無くなるだろ。無くす訳にはいかないんだよ。大事なおもちゃはね」
「……私、おもちゃなんですね」
叶亜が「当たり前だろ」と淹れたてのコーヒーを詩音に出した。
その隣にはミルクが二つ付いている。
「ミルク置いたんですね。」
前は『ミルクはコーヒーの本来の味を損ねる。』とかなんとか言ってたくせに。
「ああ。誰かがいつも隠してミルク入れてたからな」
ギクッと肩がとびはねる。