「勘違いするなよ。僕はエルが行きたいって言うから行くんだ。決して、君のためじゃない」

すこし照れくさそうに言う叶亜の顔をみてると、可愛くて仕方がなくなってしまう。

「はいはい。分かってますよ」

「魚なんて見て何が楽しいんだ」

ブツブツ文句は言いながらも、楽しそうにチケットをみつめる。

本当は行きたいくせに。

「……私、叶亜さんなら助けに来てくれるって信じてました。」

今なら言える。

詩音は素直に自分の思いを言葉にしていた。