そんなものは怖くない。

「……いいの?今ここで私を殺したら、ここから逃げる突破口を自分で封じたようなものよ」

詩音の強気な言葉に光は「ちっ」と舌打ちすると、詩音の腕をひいて倉庫を出ようとする。

だが詩音も足を踏ん張って、必死に抵抗した。

パッと振り返り、警察官たちと男たちが闘っている向こう側にいるであろう、叶亜に心の中で助けを求める。

……助けてくれるよね。

あなたなら、きっと。

闘っている男の陰に隠れていた車椅子の叶亜の姿が、目に飛び込んできた。