目の前では警察官と男たちが闘っていた。
木刀で頭を殴られ血を流す警察官や、暴行をうけて青アザだらけの警察官。
相手は暴力を得意とする集団。
警察官が不利なのは目に見えてる。
「……おいっ!行くぞ!」
詩音にナイフを突きつけていた光が、詩音の拘束されていた手首のガムテープをほどいた。
……と思うと、腕を掴んで走り出す。
「どこ行くの!?離して!!」
「抵抗するな!!刺すぞ!!」
向けられたナイフ。
キラリと銀に光るナイフの切っ先は、詩音の心臓を指していた。
詩音の動きが固まるのを確認すると、再び走り出す光。
倉庫の裏口から出ると、そこに警察官はいなかった。