「知らないでしょうね。彼女はそんなことを人に言うような人じゃなかったみたいですし。……しかし、あなたは彼女と金目当てで付き合った。彼女といればいつでも金が入ってくる。都合の良い物件って訳だ」

叶亜の言葉に、阿部の中の怒りが込み上げてきた。

舞は自分を好きだと言ってくれた光を振ることができず、両親から勘当されてまでも付き合った。

なのに、光は舞の後ろにある金目当てだったのだ。

「最低だな」

「何とでも言えよ。俺は一人の女だけを愛せねぇの。金があるやつと遊びのやつをキープしてるだけ。別におかしくねぇだろ」

悪びれのないその物言いに腹がたつ。

「その言葉の通り、あなたは何度も彼女にお金を貸してくれと頼んだ。あなたの乗ってるバイクもそのナイフも、無駄に高そうなブランドの腕時計も……全部、彼女のお金で買ったんだろ」

「ああ。そうだよ。言えば何でも貸してくれるからな。あいつ。」

「……あなたの使ったお金は、彼女が必死に働いてもらった金だ。」

「それが何だよ。」

叶亜はジッと光をにらみつけた。