「やばっ!」
「ハンドル、右にきれ!!」
「言われなくても……分かってるっ!!」
身体が右に浮く。
バイクとの接触は避けられたが、何もかもがぐちゃぐちゃになり、車が道路の真ん中にあるポールを踏みつける。
これは、免許取り消しになる可能性が高い。
「叶亜!大丈夫か!?」
後部座席を振り返ると、叶亜は頭をぶつけたのか顔をしかめていた。
「大丈夫ですよ。阿部さんほどではありませんから」
そのイタズラな微笑みにホッとする。
「……着いたわ!ここでしょ!?」
急ブレーキがかかり、そこで再び身体が浮いて天井に頭をぶつける。