綾華は鍵を車に差し込む。

「それ、俺の車!」

「早くのって!!あの子を助けるんでしょ!?」

「お願いします」

叶亜が後部座席に乗り込む。

綾華が運転席に座り、阿部は渋々助手席に乗った。

激しいエンジン音が鳴り響く。

「播磨!お前っ……」

「話しかけないで!!死にたいの!?」

綾華の凄味のある目付きに、阿部は蛇に睨まれた蛙のように固まった。

「とばすから、しっかり掴まっててね!」

サイドブレーキを下ろした瞬間、とてつもない速さで車が走り出した。