「止まねぇ雨だな。気分がジメジメするぜ」
窓の外をみていた阿部は、降り続ける雨をみてため息を吐いた。
カーテンを閉め、舞の部屋をじっくりと見回している叶亜に聞く。
「何か分かったか?」
「この10分程度で何か分かるわけないですよ」
叶亜は視線をこちらに向けずに答えた。
「当たり前でしょ。何度言えば分かるの。ここは警察がまんべんなく探してるのよ?素人に何が見つけられるの。」
綾華が壁に寄りかかり、喧嘩腰で叶亜に言った。
だが、叶亜はそんなものを相手にせず、じっくりと何かを考えている。
「……なにか、なにかが足りない。なんだ、この違和感……」
ぶつぶつと呟いている叶亜を見るのは、久しぶりだ。
いつもなら、余裕の笑みで犯人を言い当てているのに。