舞の携帯電話を握る手が、尋常じゃないほどに震えた。
「……そういうことだったんだ。」
エレベーターが1階につくと、詩音は大学を飛び出した。
軒下のところで立ち止まり、携帯電話を取り出す。
早くあの人にこの事を伝えないとっ……!
叶亜に電話をかけようとして、詩音は通話ボタンを押そうとする……が、その手をとめた。
もし、叶亜たちに電話をかけて呼んでも、私の推理が間違いだったら?
阿部刑事は警察だし、誤認逮捕とかで問題になったら……。
心配しすぎかもしれないが、この状況の詩音にそんな冷静な判断はできなかった。
電話をかけるのをやめ、携帯電話をカバンになおす。