「……播磨刑事は、なんでそんなにあいつのことを気にするんですか?」
叶亜が窓の外を見ながら聞いた。
雨は次第に強さを増し、アスファルトを叩きつける。
「いえ。特に意味はないわ。気になっただけ。それより、どこに向かってるの?」
「……被害者の家です。まだ調べ残しがあるといけませんから。」
叶亜の言葉に綾華は眉をひそめた。
「調べ残しって……。現場は警察がまんべんなく調べたわ。調べ残しなんて無いわよ。行くだけ無駄じゃない?」
「だったら付いてこなくて結構ですよ。阿部さんと車の中でラブラブしておいてください。」
「叶亜。お前、今日不機嫌だな。どうした?」
信号で車が停まると、阿部は後部座席を振り返った。