「どうしてっ……!親友でしょ!?」

いくら自分もその人のことが好きでも、その人の恋人は自分の親友。

親友なら、応援してあげるべきだ。

葵はイラついたように長い髪をはらった。

「その肩書き、やめてほしいんだ。私は舞のことを親友だなんて思ってない。光も舞のことは利用してただけって言ってた。本当に好きなのは、私だって」

「……だから、浮気したの?」

「そうよ。私も光のこと好きだったし。……でも、舞は殺してないから!詩音は私の無実を……」

パンッと乾いた音が静かな夜道に響き渡る。

詩音は生まれて初めて人を叩いた。

葵が叩かれた頬を片手でおさえ、詩音をにらんだ。