二人である人物について調べていると、叶亜が思い出したように阿部に聞いた。

「そういえば。事件の前日、何か署に事件の連絡とか入りませんでしたか?」

「あ?連絡?……事故が3件と詐欺事件が1件入ったよ」

叶亜の調べものをしていた手がとまる。

「……詐欺事件ですか?」

「ああ。80代のおばあさんの家にかかってきたそうだよ。女の声で、『あなたの使ってるこの電話の回線でトラブルがありました。10万円振り込んでください』って。そのおばあさんは怖くなってすぐに銀行に振り込んだらしいぜ。10万。」

「……捕まったんですか?その犯人」

「いや。声も変えてたし、まだ特定だってできてねぇよ。まあそれは二課の仕事だし、俺は関係ないけどな。……って、詐欺事件がどうかしたのか?」

叶亜は首をゆっくり横に振った。

「いえ……。何でもありませんよ。」