「お前っ……!あとで覚えとけよ。」 「安心してください。僕は10秒で忘れます」 何食わぬ顔でファイルをみながら叶亜が言う。 なぜこんなにドSに育ったのか。 「……俺、子育てに向いてないな」 「阿部さんに育てられた覚えはありませんよ。阿部さんは僕の、げ・ぼ・く」 ニッコリ笑顔でいう叶亜に、振り上げた拳をゆっくり下ろす。 何度も殴ろうと思うが、なぜか行動にうつせない。 ……俺、親バカなのかもな。 そう思った阿部だった。