最近はあまり使うことがなく、資料室は鍵もかかっていないほどの倉庫と化している。
まあインターネットの普及があったからな。
「いいから。探してください。年代は最近のもの。ほら、さっさと探す!!」
いつのまにかマスクをした叶亜が阿部に命令した。
こいつはいつも上から目線だ。
「上からだな~。探すのは誰と思ってんだ」
阿部は鼻をつまみ、ファイルをひとつずつ探し始めた。
叶亜はなぜかニヤニヤしながら阿部をみている。
その様子が気になったが、いつものことだと阿部は踏み台を出した。
踏み台に上り、上の方から探していると、
「……あっ!!」
踏み台の脚がぐらつき、阿部は思いっきり床に倒れる。
身体を起こしたところで、手に何かがのっているような違和感。
そっと見てみると、阿部の手の甲に大きなムカデがのっていた。