何も話を聞いておらず、もう一度聞き返すと呆れたような顔をする叶亜。

「あの人の事ですよ。僕以外の人間に他言しないでくださいね。極秘で調べるんですから」

「あ、ああ。そうだったな。分かってるよ」

阿部はうなずくと、ひとつの扉の前で立ち止まった。

ガチャと扉を開け、中に入る。

中に入ると、鼻をつく臭い。

「うわ!くっせ!吐き気がするぜ」

七畳ほどの部屋に棚がずらっと並んでいる。

その棚に敷き詰められたファイルの数々。

1000は越えていると思われる。

ここは、警察署内の資料室だ。

今までこの町で起こった事件についてまとめられた資料がたくさん保管してある。