部屋を出ると、取調室から葵が出てきた。
葵は詩音を見るなり、瞳を潤ませて抱きついてきた。
「詩音!!終わったよー!」
「お疲れさま。葵」
葵の背中を撫でると、叶亜と阿部がやってくる。
「君、悪いが先に帰っててくれ」
「えっ?あなたと阿部さんは?」
「ちょっと調べたいことがあってな」
阿部が頬をポリポリかきながら答えた。
「調べたいことって、事件のことですよね?だったら、私もっ……」
「彼女を一人で帰らす気か?」
叶亜が泣いている葵を指差した。
たしかに、葵を一人にはできない。
詩音は力強くうなずくと、葵とともに警察署を出た。