「刑事って哀しい職業よね」 その瞳はどこを見つめているのか分からない。 闇を映しているような哀しい瞳。 「疑うことが仕事だもの。人を疑って見つける正義って、本当の正義じゃないわよね。きっと……」 「ごめんね。こんな話して」と綾華は自嘲気味に笑って、詩音の横を通りすぎていった。 もしかしたら、綾華にも悲しい過去があるのかもしれない。 その後ろ姿を見つめながら、詩音はふとそう思った――。