その日の放課後少年はいつもどおり稲葉と帰ろうとしていた。だが、

「桐生。ちょっと話があるんだけど。」

隣の席にいる少女に話しかけられ少し話すことになった。 少女が人に聞かれたくないというので2人は普段あまり人がこない外階段で話をした。

「話ってなに?」

「給食の時のこと。稲葉がいい奴だってことは知ってるよ。
けど、私と真姫の長い時間をかけて作ってきた信頼関係とか…。
稲葉はそれを軽々と超えていった。
それが嫌だった。今までのことを全部台無しにされたような気がして。」

少女は言い終わると少年をキッと睨んだ。

「とりあえず、もう邪魔はしないから。」

少女はそれだけ言うと少年を置いて教室へと戻ってしまった。

「一方的に話やがって…。信頼関係ねぇ。」

少年はため息をついてからゆっくりと教室へ戻って行った。