出会ってから2人が関わることもなく時が過ぎ今はだんだんと寒くなってきた11月。

月の初めにはいつも席替えをする。

「げっ!!俺1番前の席かよ!!最悪。」

「祐希、まじかよw俺は1番後ろの席だぜ!!しかも、彼女の隣!」

少年は親友の稲葉大地(いなばだいち)が照れながら喜ぶ様子を見てキッと睨む。

「祐希睨むなよ。お前もすぐ彼女位できるさ!!」

「そんなすぐできるもんならもういるはずだろ!!」

親友を叩きながら少年はそっと彼の彼女・相原真姫(あいはらまき)を見た。 相原は背が低く顔は可愛い。テニス部に入っているため肌が焼けている。
見ていると相原と目が合い慌てて目を逸らす。
だが、彼女は自分の親友を連れてこちらへやってきた。

「大地、席となりだね!よかった!!」

「おぉ。よろしくな、真姫。」

そう言いながら稲葉が照れながら相原と握手しようと手を差し出したが、その手を相原の親友である並木がパシッと払った。

「真姫に触らないでよね!!」

「並木…。痛いじゃねぇかよ。お前ほんと真姫のこと好きだよな。」

「うるさい!真姫と私は幼馴染みであり親友なの!!お前が真姫の彼氏なんて認めないから!!」

ガルルルルと言う言葉がお似合いな態度に笑いそうになるが我慢する。並木は犬みたいだなあ、なんて本人に言ったら怒りそうだな。

「桜は犬みたいだね。」

「真姫ひどい!!」

「まあ、そんなことよりはやく席移動しようか。桜は桐生くんの横でしょ。ほら移動しなよ。」

あからさまに嫌そうな顔をしながら少女は少年の方を見た。

「大地、席移動しよ!」

「あー!真姫そんなやつのとこ行ったらダメー!!」

彼女が慌てて相原に抱きつく。彼女はそうとう稲葉のことが嫌いみたいだ。

「ほら、行くぞ。」

少年は少女を、親友から強制的に引き離し席まで引っ張っていった。

「桐生離せよーーー!!」

少女が少年に対して怒ったのは言うまでもない。