寒い2月、花屋で花を探す1人の青年・桐生祐希。
「お客様、何をお探しですか?」
話し掛けてきた店員に苦笑いして青年は言う。
「桜、ありませんよね?」
「申し訳ございません。今の季節に桜はないんです。」
「謝らないで下さい。俺も無いってわかってましたし。ありがとうございました、では。」
店員に謝られて慌てながら青年は答える。青年はそのまま店を出ていく。
車に乗ると青年は好きな人の眠る墓に向かった。
「よぉ、久しぶり。」
青年は並木家の墓を見つけると青年は墓に向かって話始めた。
「ごめんな。何も持ってきてないんだ。ホントは桜を買おうと思ったんだけどなくてよ。まあ、2月だしな。あ、そうだ。俺大学3年になるんだぜ。大学楽しいぜ。」
青年はそこまで言うと1度話をやめた。
唇を噛み綺麗な青空を見る。 青年は青空を見ながら再び話を始めた。
「並木桜って、いい名前だよな。お前にぴったりだよ。お前ってさ、明るくて元気でクラスの中心にいるような奴だったよな。悩みとは程遠い奴だったよな。俺たち中学も高校も同じだったよな。喧嘩ばっかだったけど仲良かったよな。」
青年は青空から墓に視線を戻した。目から涙を零しながら言う。
「なあ、なんで自殺なんてしたんだ?何を悩んでたんだ?なあ、それは死なないといけないような悩みだったのかよ!!俺は、お前のことが!!…。」
青年は涙が止まらなくなり手で目を抑える。
「ごめん。カッコ悪くてごめん。俺、お前の死んだ理由勝手に調べるから。ごめん、また来るよ。」
青年は1度涙を流しながらも微笑み、自分の心と正反対の青空を睨み車でそこからいなくなった。