私は、何が何だか分からなくなって固まっている。

「ほら、早く行かねーと遅刻だろ?」

「聞こえてんのか?」

などと陽翔先輩は言うけれど、今の状況に頭がついていかない。

「行くぞ。」

という陽翔先輩の声と共に、私の身体はふわりと浮いた。

「えっ……。」

よく考えてみると、勝手に身体が浮くわけない。

私は、陽翔先輩にお姫様抱っこをされている。

「おろしてっ!!」

そんな私の抵抗を気にもとめず、陽翔先輩は、校門の方へと歩いていく。