雨が激しいスコールのように路上に叩きつけている。

 俺はその中をひたすら走った。

 不自然な時間にみる制服姿の俺の背に、人々の奇異な視線が投げなられる。

 当てもなく走っているつもりだったが、向かっている先はおのずと分かっていた。

 俺は息を切らせながら、雨に濡れた植物園の定休日の看板の前に立った。

 そして閉ざされたフェンスをよじ登り、誰もない植物園の中に侵入した。

 透明なドームの屋根が灰色の空の下に見えている。

 定休日で来客はいないが、植物の世話をするためだろう、数人の作業員の姿が見て取れる。

 俺は身を隠しながら、さながらサバイバル気分で、無防備に開けられた「トロピカルドーム」のガラスの入り口をすりぬけた。