「川崎!」
え?
まだ言ってなかったけど、私は、相模沢中学2年3組6番川崎萌。
うちのクラスに川崎は私一人。
よって呼ばれてるのは私。
そう思って佐伯くんたちの方から自分の班の方へ顔を向けると、そこには少し怒った顔。
「なに2班ばっかり見てんの?話し合い中!」
同じ班の伊谷隼人。私の班の班長。
「ごめんなさーい。
悠花達があまりにも楽しそうでー。」
「あー。カップルが揃ったから~。」
やんわりとした口調で伊谷が言った。
確かに2班のメンバーはカップル二人が揃ったからか、悠花と佐伯くんの会話に口を挟まない。
「だけど、話を聞かない理由にはならない!ちゃんと聞け!」
「はーい。」
班長も大変だことー。
まぁ、押し付けたの私達なんだけど。
かく言う私も副班長やってるしー。
「ところで川崎。」
伊谷が笑顔で話しかけてきた。
「もう一回話す身にもなって?」
うん。班長だからね。
「っていうか、文化祭実行委員でしょ!
ちゃんとしてよ!」
そう。私は実は、文化祭実行委員(略して文実)なのです!
なのになんで聞いてないかって?
…気になるんだもん!仕方ないよね?
「ちゃ・ん・と・し・て・ね!」
「わ・か・っ・た・よ!」
伊谷とはいつもこんな感じ。
班のメンバーも、みんな笑って見ている。
「はぁ……。じゃあ説明もう一回するから、次は聞いててね。」
「はぁーーい。」
私がやる気ない返事をしたからか、伊谷は一瞬ムッとした表情になった。
だけど、話を始めるあたり、さすが班長ってところだ。
「文実だから知ってると思うけど、2年3組はハズレくじを引いたため、ポスターセッションです。」
「………すみません。」
メイド喫茶、お化け屋敷×2、歴史劇、ポスターセッション。
5クラスある中で、私が引いたのは、運悪く一番面白くないポスターセッションだったのです。
だってポスターセッションって、資料とかを見せながら発表するだけだよ!?
最もつまらないものだよ。
………引いた私が言えることじゃないけど。
「うちの班は、オーストラリアの文化について!OK?」
「…OKです。」