目を開くと、次は公園らしきところだった。

ブランコも、シーソーも、滑り台もあるけど全てが錆びている。

この公園は時代と共に寂れている何かのような気がした。

金髪の女性。

神様はそう言っていたけど、そんな人どこにもいないじゃん。

そう思った時だった。

不意に首に冷たいものが当たる。


「…今更何の用?」


真後ろから冷えた女の声が聞こえた。

振り向こうとするとその冷たい何かを押し当てられた。


「…母ちゃん。」


フウトが私の背後にいる人を見ると、そう漏らした。

フウトのお母さんが、次に私達が殺す人?

金髪かどうかなんて分かんない。

フウトのお母さんは、更に冷たい何かを押し当て言い放った。


「私を殺そうってんでしょ?

ふざけてんのか?あ?

この女がどうなってもいいのかよ。」


急に乱暴な口調になったフウトのお母さんはそう言った。

私に押し当てられているのはナイフだと、今更気づいた。

私、完全に足引っ張ってる…

冷や汗がだらだらと流れる。

後ろの女と前にいる男4人の間にはバチバチと火花が散っている。


「ユイを離せよ。アホ女。」

「それが生みの親に対する態度か?

ぶっ殺すぞ。てめぇ。」


後ろからヒステリックな程の声が飛ぶ。

声のトーンが低く、脅しをかけてるようにしか見えない。

女の顔を見ていないから、何とも言えない。

ナイフが地面に落下する。

すかさず、マシューが駆け寄ってくる。


「怪我はないか?」

「うん。大丈夫。それよりさっきの…」

「あいつは透明人間だ。油断してるとやられるぞ。」


全てを言い切る前にフウトが吐き捨てた。

目が憎悪に囚われている。

そんなに、ひどい仕打ちを受けたんだろうか。

そんな私の気持ちを察してかマシューが私に耳打ちする。


「フウトは昔、あいつに殴られて片目の視力が落ちてる。

だから、片方は度が入ってないけどもう片方はめちゃくちゃ度が強いんだ。」


マシューがあいつ、と表現するのは案外珍しい。

それ以外にも、相当ひどいことをしたんだと私は察して黙った。

突然ハヤテが吹き飛ばされた。

ぬらっと姿が現れる。


確かに美人だ。

けど、今の顔は鬼の形相だ。

金髪がすごく似合っている。

ハヤテを睨みつけふん、と鼻を鳴らした。


「随分弱いわね。」


ハヤテの腹を踏もうとしたところでセシルが女に突進する。

女の腕を掴んで必死に掴みかかる。


「ハヤテに何すんだよ!!

こいつは何も悪くないだろ!!」


しかし女は、そんなの物とせず、セシルを突き飛ばした。

セシルの目が一瞬光るが、女の姿が消えたことによってすぐに元に戻る。

今回は、前回のように上手くいかないようだ。